ミスター、ご存知でしょう?

 

ミスター、ご存知でしょう?

 



 

「源田ぁー」

ふと、自室でこの間の練習試合を観ている時だった。
声と共に鍵を空ける音がして振り向くと風呂上がりなのであろうランニングにショートパンツ、オマケに風呂上がりらしく首にタオルをかけ、髪は濡れたままというラフな格好の佐久間がそこに居た。

「…俺の部屋に来るのはいいが、その格好で出歩くのはどうかと思うぞ」
「別に男子寮なんだから困る事ねーよ」

勝手に据置きの冷蔵庫を開け、中から牛乳を取り出し直接パックに口を付け飲み始めた佐久間を横目で見ながら溜息をひとつ吐いた。
男子寮なんだから、と言っても実際俺と佐久間は一般的な友達の関係ではない訳で所謂、恋人同士だ。男と男が付き合ってるというのに何故佐久間の中で男が対象外になっているのか不思議で仕方ないのだが、本当に佐久間はこれっぽっちも気にしていないようで。濡れた髪は普段の色より少しトーンが落ちて肩にかかっているし、ランニングは色が薄いせいもあり髪から落ちた水滴で所々濡れ、肌色が透けている。ショートパンツから出る褐色の足も、その濡れた髪や服も全て、俺の理性を揺らがすものとして十分過ぎる程だと言うのに。

「…なら俺が困らせてやる」

テレビを消し、立ち上がって牛乳を飲み終えた佐久間を抱え、ベッドまで運び少し乱暴に下ろすと同時に蹴られないよう上に乗り、手首を首にかけていたタオルを使い頭の上でベッドの柵と一緒に絡ませ縛る。腕を上げた事で見えた佐久間のまだ産毛すら生えていない脇に舌を這わせ舐め上げ、紅い痕を落とした。

「っぁ…何、してんだよ源田」

突然の事に驚きながらも俺を睨みつける佐久間だが、その問いには答えず、ただ無言で脇から鎖骨、首筋へと舌を這わせ紅い痕を付けていく。舌を移動させる度にびくっと小さく震える体が可愛くて佐久間が弱いとする耳の中へと舌を運ばせ、耳たぶを甘噛みしてやると小さな鳴き声が聞こえた。佐久間の顔を見ると、俺を睨んではいるけれど、俺を見るその片眼は現に潤んでいてなんともたまらない気持ちにさせられる。
乾いていない髪や首にかけていたタオルのせいで濡れ、肌色が透けている場所から先程の俺の行為でゆるく勃ち始めた乳首が主張し始め俺を誘う。佐久間の唇のすぐ横ににキスをし、ゆっくりと舌を胸に向かって這わせ、ランニングの上から右の乳首周りを執拗に痕を付けながら舐め、空いている手で反対側を弄ぶ。どんどん主張していく乳首には触れず、舌と指だけでひたすら周りを攻め続けた。

「ん、あっ…げん、だ…ふぁ!?」

気持ちいいのか、焦らされて辛いのか切なそうに名前を呼ばれ、いつの間にか主張しきった乳首にそっと舌を這わせながら佐久間を見ると先程と同じように眼を潤ませながらもやっと望んだ快感に大きく震え、声を漏らす佐久間はそこらの女子より魅力的だ。現に、俺自身も触れてすらいないのに佐久間のその声や表情だけで痛いくらいに勃っている訳で。今すぐにでも佐久間の中に埋めたいのだけれど、必死にその欲求を抑え、ランニングを胸より少し上に捲り、右手は直接乳首に触れ、左手の指を先に這わせ触りながら後を追うように舌をヘソに向かい痕を残しながらゆっくり這わせていく。窪みにわざと唾液を垂らし、水音を響かせながら露出している太ももを撫でゆっくり付け根に向かわせ、佐久間の自身にショーパン越しに触れると佐久間もしっかりと勃ち上がっていて。ショーパンと下着を一気に膝まで下げるとぷるんっ、と勢いよく濡れた音と共に自身が飛び出してきたのだがそちらには触れず、服を脱がせた。唾液をたらし佐久間の後孔に右手の指を一本ゆっくりと入れていく。唾液で滑ることもありするりと飲み込んでいくその中に指を二本目、三本目と続かせた。

「ヒクヒクしてすごい締め付けてくるぞ、佐久間の穴」
「うっさ、あっ、んぅ」

指で弱めに前立腺目がけ当てつつ、右手で佐久間の右足を掴み足の甲に舌を這わせ、吸った。くるぶし、ふくらはぎ、太ももとゆっくり吸い付き痕を残しながら舐め上げていく。佐久間が恥ずかしくて人前で服を脱げないように。そうすれば無駄に肌を晒せなくるし、その体を見れるのは自分だけだ。激しい束縛感に我ながら驚くが体は一向に止めようとはせず、紅を増やしていく。大きな快感は得られないものの、佐久間の限界は近いのだろう、佐久間自身からは蜜が溢れ、這わせる舌が動く度に震えソレを主張させた。

(そろそろか……)

太ももの付け根まで舌を運ばせその場所を吸い、入れていた指を抜く。突然抜かれ快感を失い拍子抜けする佐久間に思わずニヤリ、と笑ってしまった。自身を取り出し、佐久間の後孔に宛てがいつつも触れるだけで入れようとしない俺に思わず腰を動かし入れようとする佐久間は何とも言えない程いやらしく、余計に独り占めしたくなる気持ちが増すばかりで。

「欲しいのか?」
「っ…欲しい」
「なら、もうあんな格好で出歩くなよ?」
「わかったから、早くっ…」

佐久間の言葉に満足し、中へと押し入れた。待ちに待ったと言わんばかりの絡み捕るような締め付けに思わず射精してしまいそうになるも我慢し、全て収めると佐久間を回転させ、四つん這いにさせる。動きながら手で佐久間自身を扱きつつ、背中に舌を這わせ紅い痕を増やしていった。

「っんあ、やっ、げん、だっ」
「っ…佐久間、そんなに締め付けるな」
「だって…ふっ、あ、きもち、いっ…あ、源田、イク」
「俺も…っ」

佐久間の鬼頭に爪を立てた瞬間、大きく震え熱い白濁が飛び散りシーツを汚した。その反動で後孔が締まり抜く事が出来ず、佐久間の中に放った。

 

「つーかこれ…ユニフォームと制服以外着れねーじゃん」

情事の後、再度シャワーを浴びる事になり浴びていると源田も入ってきてまあもう一回結局してしまった訳なのだが隣で気持ち良さそうに眠る源田に思わず溜息を吐く。紅くなっている部分は見る限りユニフォームからはギリギリ見えない位置ばかりでとても今日着て来た服で出歩けそうにない。正直自分よりも、誰にでもにこにこしている源田の方が心配なのだが。お返しとばかりに彼の首筋に強めに吸い付き、紅くなったのを確認してから隣で眠りについた。

 

 

end.