センチメンタルピエロ

 

センチメンタルピエロ

 

 


部屋で雑誌を読んでいると静かな部屋に無機質な音が流れる。
音の発信元を見ると 源田幸次郎 と、チームメイトであり恋人でもある名前が表示され震えていた。

「もしもし」
「………」
「…もしもし?」
「……佐久間ぁ」

出たのにも関わらず無言の対応に少々苛つきながらも相手が話すのを待っていると聞き取るのも難しいくらいの小さな声で名前を呼ばれた。呼ばれた。それは、いい。

「…は?」

思わず、画面を見て着信相手の名前を確認してしまった。だって、今の声は源田じゃない。声のボリュームは小さかったが、それはどう考えても源田幸次郎のものとはかけ離れた高い声だった。そう、あれは女の声。帝国学園は共学校だし、男女共に寮があるからまあ源田が女を部屋に連れ込んでいても不思議ではないのだが、わざわざ源田の携帯からかけてくるとは何の嫌がらせだろうか。

「部屋に、来てくれ」

一人悶々と考えていると今度は先程より少しだけしっかりとした声で、しかしながら相変わらず女の声が受話器口から聞こえ、そして切れた。

「…はぁ?」

通話終了の音が流れ、耳から離し思わず画面を見つめる。一体、どういうことなのだろうか。伝える事だけ伝えて電話を切られた事にも、何より源田本人でなくどっかの女が喋っていた事にまず納得がいかない。思春期真っただ中である中学生が自分の部屋に異性を連れてくる事はよくあるでだろう。だけど、恋人がいるなかそれをするのはどうなのか。はっきり言って気分が悪い。一発蹴りを入れてやろうと急いで部屋を出た。そう言えば、電話の相手は泣いているような声だった。思い出し、自分の頭は嫌な考えがぐるぐる回りだす。源田の癖に、ムカつく。

 

部屋の前に着き、貰っていた合鍵を使って部屋に入る。真っ暗だった。遠慮なんてない。ずかずかと突き進み、寝室の前まで行き、勢いよくドアを開けた。

「おい源田!さっきの…」

勢いよく部屋に入ったものの、いつものような源田の姿はどこにもなく、部屋に居るのはベッドの上で毛布に包まり震えている一人の人だった。源田はどこだとも思ったが見てしまったからには仕方ない。溜息をひとつついてから部屋の電気を付け、ベッドへと近寄り、頭の高さを相手に合わせる。

「さっきあんたがかけてきた佐久間だけど…大丈夫か?」

一瞬、声をかけた時にびくっと大きく震えたのがわかった。一体、源田に何されたってんだよ。相手の反応を待っていると少し経ってからそっと顔を毛布から覗かせこちらを見てきたので自分も相手を確認しようと顔を見ると、そこには俺がムカついている本人が珍しくも泣きながらそこにいて。俺の名前を呼んだ途端抱きつかれ、ひたすら泣き続けるもんだから、先程の怒りも忘れとりあえず落ち着かそうと抱き返そうとした瞬間、柔らかい何かが俺の身体に当たった気がして思考が一瞬停止した。

「え、源田?え?は?」
「佐久間ぁ…俺、女になったみたいで…もう、どうしたらいいか」

いつもとは全く違う感触に、そして高い声。俺自身まったく理解できていないが、とにかく自分も源田も落ち着こうと源田の頭を撫で、落ち着くのを待った。

「…んで、推測するに今晩の飯の時に貰ったお菓子を食べてその身体になったと?」
「…たぶん……」

源田も俺も割と落ち着き、状況と経緯を聞くとどうやら犯人はチームメイトの成神のようで。怒りを覚えつつも
思わず源田の身体に見入ってしまう。いつもの引き締まった筋肉とはまるで違うその身体。胸だってびっくりするくらいに突き出てるし、心なしか顔も女っぽくてなんかこう…やらしい、とでも言えばいいのだろうか。別に普段、どんな女を見ても全くと言っていい程気にならないのに。源田だからか、妙にそそられるものがある。じっと見ていると源田が不思議そうな顔をして俺を見ていた。

「どうかしたか?」
「…本当に全部女になっちまったのか?」
「いや…ちゃんと見た訳じゃないが」
「確認してみようぜ」

ひくつく源田を他所ににい、っと笑い源田の服に手をかける。普段される側な訳だし、たまに苛めてやるのもいいかもしれない。もし源田の胸が出ただけで男のままだったらそのままいつも通りすればいいし、本当に女になってたら興味本位でしてみるのも悪くない。下着も着けていない胸は服を脱がすとその反動でぷるんと揺れて現れた。綺麗な形をしているそれに思わず触れて揉んでみると不思議な程手に合わせ形を変え、指から溢れ出るほどに大きく柔らかい。触られたことにより主張し出した乳首を摘んでみると源田から声が漏れ始めた。声が高いだけあっていつも以上に響く声に緩やかに立ち上がるものを自身に感じた。面白くなって片方の胸に舌を這わせると敏感になっているのか、びくりと源田の身体が反応するのがわかった。

「っあ…佐久間、そこら辺でやめて…んぁ、くれ」
「イヤだね」

嫌がる源田の願いを断り、行為を続けたまま空いた手で腹部を撫で回すように下に降りていき源田の下半身へと侵入すると触れたのはいつもあるモノではなく、確かに女のものだった。胸を触られていたのもあり濡れ始めているソコに触れた瞬間、くちゅりと音がする。思わず乳首から口を離し、穿いていたズボンと下着を一遍に下し裸にさせしゃがんで足を開かせた。

「すげぇ…本当に女になってる…」

男性器などそこにはもとからなかったかのように女性器がしっかりと源田のそこにはあり、秘部からは蜜が溢れ割れ目を伝っている程。指で蜜を掬い、そのすぐ上にある蕾を優しく撫でてみる。やり方は友達とおもしろ半分に見ていた雑誌に乗っていたから大体の事は興味はなくとも知っていて。少し強く撫でてみたり、絶えず溢れ出てくるその場所に指を入れたりしてみる。熱く、指に絡み付いてくるソコに一本ずつ指を増やし序所に拡げていく。

「んん…佐久間何を…っつ」
「源田気持ちい?」

敏感な場所を探しているとある位置で大きく反応したのでここぞとばかりにそこを責めて主張している蕾を指で弾くと大きく震え達したのだろう、ソコがきゅーっと指を締め付けた。少し収まってから指を引き抜くと余韻でぶるりと震え肩で行息をする源田。普段とは違う、真っ赤になって余裕もなく感じている源田をみてどこからかいつもとは違う歪んだ気持ちが湧いてくる。源田を俺でいっぱいにしてみたい。最初は興味本位の筈だったのに。そう思うと触れてすらいなにのに自身は先走りが出るほど強く主張し痛い程に勃ち上がっていた。ついつい後孔に触れたくなるのを我慢し、近付いて源田の唇に深いキスをするとシーツを掴んでいた手がゆっくり首に回された。…やばい、源田可愛い。

「っ…源田、入れてもいい?」
「んぁ…身体元に戻ったら、覚悟しとけ」

痛いくらいに主張する自身を出し、ソコに宛てがう。

「きっつ…」

先端を沈めただけなのにひどく締め付けてくるそこに達しそうになりながらも必死で抑え少し落ち着くのを待つ。源田はいつもこんな思いをしながら自分に入れているのかと思うと今の状況への違和感となんとも言えない恥ずかしさが込み上げてきた。ゆっくりと自身を沈めていき、全て入れる頃には痛がっていた源田も快感へと変わりつつあるのか、時折喘ぐ様な声が聞こえ、それが逆に俺を興奮させていた。落ち着くのを待って動き出す。

「は、あっ…さ、くま」

違う。聞きたいのは、その声じゃない。思わず源田の口を自分の唇で塞ぎ、行為を続ける。驚くくらいに興奮しているもののどこか違和感を感じる現状にどうしようもない気持ちになる。だけど、温かさや匂いは源田のもので。源田の手が俺の胸を弄った瞬間、源田の中で弾け俺の意識も一緒に飛んだ。

気付いた頃には日は昇り始めていて、目の前には気持ち良さそうに眠っている源田がいた。はっ、と自分がした事を思い出し急いで毛布の中を覗くとそこにはあの綺麗な形をした胸は胸筋だけの堅い胸に戻っていて、下に触れてみるときちんと付いているソレにひどく安心した。イタズラで始めた行為にあんなにも違和感を覚えるとは。我ながら呆れてしまう。ふと、裸で寝ているからか寒気を感じ源田に寄り添うといつもの源田の身体に思わずニヤけながらもまた意識を手放した。

 

 

 

end.